□━2004/11/26 第0052号━━━━━━━━━━━━━━━━━━読者数12531部━□
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▼「根性のある出版翻訳者がいない」平岩大樹(通訳翻訳館)
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■◇「根性のある出版翻訳者がいない」
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いまにも雨が降ってきそうなある日、私は出版翻訳業界の現状を探るべくある出版
翻訳家の事務所を尋ねた。都心からすこし外れた古いマンションの一室にその翻訳家
の事務所はひっそりとあった。事務所の主は経済・金融・経営分野を専門とする専業
出版翻訳家、山岡洋一氏。
山岡氏は経済・金融・経営分野を中心に出版翻訳、産業翻訳に携わる1949年生
まれの翻訳家で『ビジョナリー・カンパニー』、『資本主義の未来』など数多くのベ
ストセラー翻訳書を持っている。昨年、自ら『翻訳とは何か―職業としての翻訳』を
出し、今年7月には読者、翻訳者、出版編集者を結ぶ『翻訳通信』を始めるなど、異
彩を放つ出版翻訳家だ。
事務所に集まっていたのはフリーランスの翻訳者、翻訳家志望者など。すべて『翻
訳通信』を購読している読者。それもそのはず、今回の集まりは『翻訳通信』にだけ
告知された懇親会だからだ。第一線の出版翻訳家に会えるとだけあって参加希望者が
殺到。定員を上回る参加希望者があったものの事務所の広さなどを考慮して11名の
読者に絞られた。
懇親会への参加者出席率は100%、参加を許可された11名全員が出席した。イ
ンターネットを使った勉強会を何度か開催したことがあるが、出席率100%は驚異
的だ。必ず「急用ができた」、「忘れていた」などと言って欠席する輩が一人くらい
はいる。だから全員出席にはちょっと驚いた。
さて、懇親会のテーマは「職業としての出版翻訳」。山岡氏を囲んで始まった会は
二次会を含めて7時間にも及んだ。議題は翻訳者の姿勢、英文和訳と翻訳の違い、出
版社と翻訳者の関係、翻訳者の語学力、翻訳会社の営業、機械翻訳の未来、翻訳専門
領域の確立などに広がっていった。
山岡氏は「出版社が出したい翻訳書はいくらであるのに安心して任せられる人(翻
訳者)がいない」という。実際、事務所にやってくる翻訳家志望者のうち10人中9
人は「やめておいたほうがいい」と諭すという。やってくる翻訳家志望者の多くは「
原書を10分の1も読んでいない」、しかも「自信など持ってはいけないところ(語学
力)に自信を持って」しまっているという。
翻訳教育産業の発展とは逆に「翻訳の質」は明らかに下がっていると山岡氏はいう
。翻訳学校では「翻訳書を出したことのない人が翻訳を教え」、受講生は「語学力(
英語)を生かして」などという宣伝文句に踊らされていると。翻訳は「質の高い日本
語の文章を読み、一流の翻訳を盗んでまねすること」でしか学べないという。
翻訳家として向いているのはベテラン出版編集者でも知らない本を大量に読み込ん
でいる人、翻訳分野の知識が専門家と同等かそれ以上の専門知識を持っている人。自
分の専門分野なら何時間でも喋っていられる人。翻訳に対する熱意と強い意志、なに
より根性を持っている人でなければならないという。
「翻訳書を一冊でも出したことがある人(翻訳者)を調べたら1万人ほどいた。そ
の中で継続的に翻訳書を出し、(出版翻訳で)生計を立てている人は10人といない
」そうだ。出版不況のもと翻訳家に入る印税収入は減り、山岡氏のような翻訳家でさ
え生計を立てるがやっとのところだという。
翻訳は「学び伝えることである」と語る山岡氏からは強い危機感がひしひしと伝わ
ってきた。実力のある新人翻訳者が出てこない、育たない、何よりも翻訳の質が下が
っていることを誰よりも心配し、日本の行く末を真剣に考えているひとりの翻訳家が
そこにいた。
2002年7月から山岡氏が始めた『翻訳通信』、その冒頭には「120万人の読
書家と翻訳者、執筆者、編集者とを結び、翻訳と読書、文化、言葉の問題を幅広く考
える通信」という文言が必ず現れる。翻訳家、山岡洋一氏の「挑戦」がどのように出
版翻訳界を変えいくのか、いま目が離せない。
(平岩大樹=通訳翻訳館)
[この記事は通訳翻訳館ウェブサイトにも掲載されています]
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