◆━2004/01/30 第0019号━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━◆
◇◇通訳翻訳ビジネスレポート◇◇
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◇目次━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
<投稿記事>
◆「悪臭が漂う美しい泉」平岩大樹(通訳翻訳館)
<書籍紹介>
◆『日本語と外国語』鈴木孝夫(著)
◆『文章を書くこころ』外山滋比古(著)
◆『商売心得帖』松下幸之助(著)
◆『逆転のサービス発想法』ハリー・ベックウィス(著)
酒井泰介(訳)
<編集後記>
◆「訳者あとがきを読む」
<投稿募集>
◆「あなたからの投稿を掲載します」
<= 投稿記事 =>―――――――――――――――――――――――――――――――
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■◇「悪臭が漂う美しい泉」
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語学ブームの終焉にともない、スクールに新規受講生が集まらない。しかも、集客
ツールとして使ってきた業界誌は廃刊や縮小に追い込まれている。そこでスクールは
、講師に本を書かせたり、歩く広告塔にしようとしたり、となかなかおもしろい作戦
を展開している。
いままでスクールは「あなたも翻訳家になれる」、「憧れの職業」などとさんざん
広告宣伝してきた。文章と同じようにキャッチコピーにも、人の考え方や経営理念が
にじみ出てしまう。
「あなたも翻訳家になれる」、「憧れの職業」というキャッチコピーからにじみで
るものは「不正直」、「不誠実」、「傲慢」という悪臭でしかない。優れた人材を養
成し、社会に貢献しようなどという情熱、理念、使命感は微塵も感じられない。
真実の情報を隠し、幻想をばらまき、自分たちだけの利益を追求することしか眼中
にない。この「あなたも翻訳家になれる」、「憧れの職業」というキャッチコピーほ
ど、翻訳家や通訳者をバカにしているキャッチコピーはない。
本来なら、業界誌がこういう傲慢なスクールや会社を批判し、叩くものだ。しかし
、この通訳翻訳業界に「業界誌」などというものは存在しない。いくら「業界誌」な
どと自作自演してみても実態はスクールの「広報誌」でしかない。ここまで放置した
業界関係者にも責任がある。
今日、スクールの社会的な存在理由が厳しく問われている。そういう自覚や認識を
当事者たちは持っていない。土地バブル経済では有効だったかもしれないが、時代は
もうすっかり変わっている。いま求められているのは「ハッタリ」や「幻想」ではな
い、「ホンモノ」だ。
「ハッタリ」、「幻想」作戦が効かなくなり、今度は副業ブームに便乗しようとし
ているスクール関係者と広報誌。また真実の情報を隠し、幻想をばらまき、自分たち
だけの利益を追求しようとしている。
通訳、翻訳で生活していくことは、画家になること、音楽家になることと同じくら
い厳しく、困難な道となる。一流の画家、一流の音楽家になれる人は数えるくらいし
かいないように、一流の通訳者、翻訳家になれる人も数えるくらいしかいない。
画家として成功すること、音楽家として成功するということはどんなことを意味し
、どんな生活に耐え、どんな困難を克服しなければならないのか、ある程度知られて
いる。
画家や音楽家になる志を立てた人間は、最低限の生活に耐え、親戚や友人からバカ
にされ、懸命に仕事に取り組んでも世間は認めてくれない。そんな生活が何十年と続
く。どんな困難を覚悟しても、いくら強い決意を持っても、多くは脱落していく。
通訳者になる、翻訳家になるということも全く同じことだ。最低限の生活に耐え、
親戚や友人からバカにされ、懸命に仕事に取り組んでも世間は認めてくれない。そん
な生活が何十年と続く。どんな困難を覚悟しても、いくら強い決意を持っても、多く
は脱落していく。これが真実だ。
(平岩大樹=通訳翻訳館)
[この記事は通訳翻訳館ウェブサイトにも掲載されています]
◇掲載記事
http://www.ithouse.net/japanese/column/doc/20040130.htm
◇いままでの記事一覧
http://www.ithouse.net/japanese/column/box.htm
<= 書籍紹介 =>―――――――――――――――――――――――――――――――
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■◇『日本語と外国語』
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【著者】鈴木 孝夫
【出版社】岩波書店
【発刊年月】1990年1月22日
【本体価格】780円 (税抜き)
【ページ数】242p
【ISBN】4004301017
【購入】http://www.amazon.co.jp/exec/obidos/ASIN/4004301017/ithouse-22
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外国語で書かれた文化や社会科学系の学問的文献を、辞書を頼りにいくら苦労して読
んでも、肝心の隠された土台の部分を知らなければ、作品全体の方向づけ、価値評価
が狂うのは当然であろう。
本文45pより抜粋
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著者は1926年生まれの言語社会学者。本書は日本語と英語、フランス語、ドイ
ツ語、ロシア語の4言語を比較し、ことばの違いから生じる認識の違いがなぜ起こる
のか、どうすれば正しく外国語を理解できるのかを考察したものである。
なぜリンゴの色、虹の色、太陽の色が各国で異なるのか、認識情報を裏で支える文
化的前提や歴史的背景などを交えながら原因を探っていく。日本語は音声と映像の二
つの伝達刺戟を必要とするテレビ型言語であり、西欧の諸言語は音声に必要な情報を
託すラジオ型言語であると著者はいう。
第4・5章「漢字の知られざる働き」では日本語が宿命的にかかえている弱点とは
何なのかを指摘し、その弱点を漢字がどう補っているのかを解明している。外国語を
学び、正しく理解するためには、何を重要なことであると認識すべなのか、そのヒン
トが書かれている。
◇そのほかのオススメ選書をみる
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■◇『文章を書くこころ』
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【著者】外山 滋比古
【出版社】PHP研究所
【発刊年月】1995年2月15日
【本体価格】448円 (税抜き)
【ページ数】216p
【ISBN】4569567355
【購入】http://www.amazon.co.jp/exec/obidos/ASIN/4569567355/ithouse-22
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ことばの表現は心であって、技巧ではない。胸の思いをよりよく伝えるには技術があ
った方がよい。しかし、この順序を間違えないことである。心のともなわない技巧が
いくらすぐれていても、ことばの遊戯に終る。ことば遊びが目的の場合は別として、
ひとの心を打つ文章を書くには書く人の心がこもっていなくてはならない。
本文46pより抜粋
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著者は1923年生まれの英文学者。月刊英語雑誌『英語少年』の編集長を務めた
経験があり、お茶の水女子大学や昭和女子大学で教鞭を執っていた。現在はお茶の水
女子大学の名誉教授を務めている。
文章がうまくなるには「いますぐ書くこと」だと著者はいっている。毎日、何でも
いいから書き続ければ、自然と上達するのだと。気取らず、とにかく書き続け、決し
てやめなければいい。
一番よくないのが自分で自分をダメだと思い込んでしまうことだともいっている。
ものを書く才能がないと嘆くよりも、書く努力を続けること、上手に書けるようにな
りたいという気持ちを持ち続けることが大切なのだと述べている。
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■◇『商売心得帖』
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【著者】松下 幸之助
【出版社】PHP研究所
【発刊年月】1973年2月20日
【本体価格】1170円 (税抜き)
【ページ数】113p
【ISBN】4569534066
【購入】http://www.amazon.co.jp/exec/obidos/ASIN/4569534066/ithouse-22
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“世間が不景気だから、自分の店が不景気になるのも仕方がない”とあきらめたり、
あるいは“困ったことだ”と右往左往すればお店はその予想の通りになりましょう。
しかし、不景気だからこそオモシロイんだ、こんな時こそ自分の実力がものを言うの
だと考えて、さらに商売に励むならば、そこには発展、繁栄する道がいくらでもある
と思うのです。
本文58pより抜粋
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著者は平成元年に死去した松下電器産業の創業者。わずかな資金で電球ソケットの
改良開発をはじめ、現在の松下電器をつくりあげた経営者である。その経営哲学は業
種を問わず数々の名経営者に支持され、いまも受け継がれている。
本書は松下幸之助が松下電器を経営していくなかで学び、体得した「商売の心得」
である。幸之助はいう。世間はなかなか認めてはくれないが、間違ったこと、正しく
ないこと、見当はずれなことをやらないかぎり、必ず受け入れてくれるものだと。
商売を成功させ、商売を繁栄させるためにはどのようなことに気をつけ、どういう
姿勢で経営に取り組めばいいのか。単なるカネ儲けを超えて目指すべき商売とは何な
のか。経営の神様が静かに商売の心得を語り、教えてくれる。
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■◇『逆転のサービス発想法』
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【著者】ハリー・ベックウィス
【翻訳】酒井 泰介
【出版社】ダイヤモンド社
【発刊年月】1998年12月10日
【本体価格】1600円 (税抜き)
【ページ数】213p
【ISBN】4478560323
【購入】http://www.amazon.co.jp/exec/obidos/ASIN/4478560323/ithouse-22
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いくつかの例外を除けば、企業というものはすでにある市場とやらを奪い合うべく戦
っているのではない。むしろ市場を作るために奮闘しているのだ。見込み客にそのサ
ービスを欲しいと思わせ、求めさせるために苦労している。見込み客を眠らせたまま
放っておいたり、自分でそのサービスを片付けさせるのではなく、仕事をやらせてい
ただくことが問題なのだ。
本文36pより抜粋
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本書はサービス業におけるマーケティングとは何か、競合他社との戦いなのか見込
み客との戦いなのか、業界の常識は本当に役に立つのか、マーケティングの新骨頂と
はそもそも何なのかに答えている。
著者がコンサルティングした企業例をあげてサービスの専門性、サービスの品質だ
けで見込み客の心をつかめるのか、人間性・信用性・誠実性という側面はどのくらい
重要なのか、価格や品質は見込み客の心理にどの程度の影響を与えるものなのか語っ
ている。
常にゼロベースから発想し、自分が提供できるサービスとは何か、競合業者や業界
の発想を捨て、見込み客の立場で何ができるか、見込み客は何を求めているのか、そ
れを考え、行動し、追求しなければならないと主張している。
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<= 編集後記 =>―――――――――――――――――――――――――――――――
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■◇「訳者あとがきを読む」
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翻訳書にはだいたい「訳者あとがき」が書いてある。いろいろな事情で書けない翻
訳書もあるみたいだが、たいていは書いてある。だいたい数ページしかない。これが
楽しくて、おもしろい。いってみれば、1冊のエッセンスみたいなものだ。
「訳者あとがき」の短い文章には、翻訳家の姿勢、情熱、生き方がにじみでてい
る。気にいった翻訳家や一流の翻訳家の「訳者あとがき」はいつも楽しく、おもし
ろく、学ぶものがある。
会って話したこともはないが、「訳者あとがき」を読んでいると、人間としての
人物イメージ、性格、気質もある程度つかめてしまう。
翻訳家、仁平和夫はユーモアセンスがあり、ちゃめっけたっぷりの翻訳家だった
のかもしれない。「訳者あとがき」に書かれている文章と行間を読むとそんなイメ
ージが湧いてくる。(平)
<= 投稿募集 =>――――――――――――――――――――――――――――――
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■◇「あなたからの投稿を掲載します」
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「通訳翻訳ビジネスレポート」ではメディアが取り上げない通訳翻訳業界の現状を
取り上げ多くの方々と情報共有するべく投稿原稿を幅広く取り上げております。応募
の資格は「通訳翻訳ビジネスレポート」の読者であればどなたでも応募いただけます
。
原稿内にはご自身のホームページの表記も認めますが、表記によるトラブルについ
ての責任は一切負いかねますのでご了承ください。なお、応募原稿全てを掲載したい
ところですが編集部が掲載を判断したものに限らせていただきます。
原稿は下記の体裁でお送りください。掲載の成否は1週間以内に必ずご連絡いたし
ます。採用させていただいた原稿は通訳翻訳館ウェブサイト「投稿コラム」に掲載し
「通訳翻訳ビジネスレポート」メールマガジンにも掲載させていただきます。なお将
来的に「投稿コラム」は出版物として出版する可能性もありますのであらかじめご了
承ください。
応募原稿体裁―「通訳」または「翻訳」をキーワードに政治・経済・文化などにつ
いてのあなたご自身のご意見を1行全角38字詰め、総字数1000字〜2000字(見出しを
含む)にまとめ、下記アドレスへお送りください。メールアドレスのみの匿名による
応募も受け付けますが会社名、氏名、メールアドレス、ホームページURLの表記を
ご希望の方は記入ください。
原稿の成否に関するお問い合わせ、及び成否の理由についてのお答えは一切できま
せんのでご承知おきください。お手数ですが、送信メールの件名には必ず「投稿」と
いう文言を記入してください。
随時募集いたしております、奮ってご応募ください。
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