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■通訳/翻訳のお仕事発見! No.76 09/03 投稿紹介:明治憲法にあった言葉
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□━2005/09/03 第076号━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━□

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▼「明治憲法にあった言葉」平岩大樹(通訳翻訳館)

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■◇「明治憲法にあった言葉」
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 1947年5月3日に施行された日本国憲法と1889年2月11日に施行された
大日本帝国憲法を読み比べていくと、いろいろと気づくことがある。現憲法は補則を
含めて103条の条文で構成されているが、旧憲法は補則を含めて76条の条文しか
なかった。

 大日本帝国憲法から日本国憲法に改正された際、新たに27条分の条文が増えたわ
けだが、それぞれの条文を読み比べていくと、27条分ではなく40条ちかい「異質
な条文」が、現憲法に書き加えられていることがわかる。

 新たに書き加えられた「異質な条文」のなかで、とりわけ目立つのが憲法第9条の
条文だ。この憲法第9条の条文は、明らかに翻訳文であり、翻訳語によって条文が組
み立てられている。

 憲法第9条の条文はこうだ、「日本国民は、正義と秩序を基調とする国際平和を誠
実に希求し、国権の発動たる戦争と、武力による威嚇又は武力の行使は、国際紛争を
解決する手段としては、永久にこれを放棄する。」と。

 この条文を、翻訳文として読んでみると、まず「正義」、「基調」、「希求」、「
国権」、「発動」という翻訳語にひっかかる。何度も読み直しているうちに「国際平
和」、「国際紛争」という翻訳語にも、ひっかかる。そこで、翻訳語とはどういう言
葉なのか、柳父章の『翻訳語の論理』の中から引用してみよう。

  「作られた言葉である翻訳語は、結局、翻訳者、造語した者の意図通りの言葉に
   はならない。それは、海の彼方の先進文明国の言葉の意味を、そのままこちらに
   持ち運び、伝達し、有効に機能する言葉とはなり得ない。」(35P)

 柳父の言葉を借りれば、憲法第9条を含め現憲法に書き加えられた「異質な条文」
は、戦勝国側の言葉の意味を、そのまま敗戦国である日本に持ち運び、伝達し、有効
に機能する言葉にはなり得えなかった。

 見方をかえると、戦勝国側の言葉の意味をそのまま日本で機能させるためには、戦
勝国側の言葉をそのまま用いて憲法を制定する必要があった。戦勝国側は、日本の翻
訳文化の本質を理解できなかったし、理解させなかったからこそ、いまの日本国憲法
があるわけだ。

 柳父章は、別の著書『翻訳文化を考える』の中でこう指摘している。

  「翻訳語は、第一に、具体的なイメージとのつながりが乏しい。そして、具体的
   なイメージが乏しいにもかかわらず、何かしら確かな、正しい意味がそこにある
、と感じられている。この感じそのものは、ことばの意味とは言えないかもしれ
ない。少なくとも、ふつうの意味ではない。が、それは、結果として、重要な文
脈上の意味を生みだしているのである。」(10p)

 現憲法は、戦勝国側によってつくられた言葉の意味をそのまま伝えない。憲法第9
条をはじめ、現憲法に書き加えられた「異質な条文」は、日本がもつ翻訳術によって
「新たにつくりだされた条文」である。「悪文」、「おしつけ」という憲法観は、戦
勝国側が残した原文にひきずられ、その原文にとらわれている。

 大日本帝国憲法第73条にはこうあった、「将来此ノ憲法ノ条項ヲ改正スルノ必要
アルトキハ」と。現憲法第96条に受け継がれた条文ではあるが、旧憲法にあった重
要な言葉が削られている。それは、「将来」という言葉だ。

 「将来」という言葉を使う時、人は「現在」を考える。「現在」と「将来」を比べ
ながら、「将来」あるべき姿を考える。また、「現在」は「過去」の積み重ねである
から、「現在」を考えていけば、当然「過去」も振り返る。大日本帝国憲法第73条
に書き込まれていた「将来」、この言葉の中に先人たちの憲法観があった。

(平岩大樹=通訳翻訳館)

 ◇平岩大樹
   1998年10月、「通訳翻訳館」の前身となった非営利求人求職サイト「個人
   翻訳通訳館」を立ち上げる。2000年に同サイトを「通訳翻訳館」に名称変更
   するとともに「通訳」と「翻訳」に特化した求人求職サイトを始める。2000
   年から通訳翻訳館の館長。http://www.ithouse.net

[この記事は通訳翻訳館ウェブサイトにも掲載されています]

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