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■選書 1

『日本・日本語・日本人』大野晋 鈴木孝夫 森本哲郎(著) 日本・日本語・日本人
大野 晋 鈴木 孝夫 森本 哲郎(著)

価格(税込):¥1,155
単行本: 201 p (2001/09/15)
新潮社 ; ISBN: 4106035049

 本書は国語学者、評論家、言語社会学者である大野氏、森本氏、鈴木氏が座談会を開いて「日本・日本語・日本人」について意見交換した内容を収録編集したものである。各氏の書き下ろし論文を加えることで、単なる対談録におわらせない工夫も施されている。各氏は日本語に対する誤った見方や劣等意識がどこから発生しているのか、その発生源を叩いたうえで日本語の土台を支える歴史背景、日本人の思考に密接に結びつく日本語とはどういう言葉なのか語り合っている。日本語がどのような歴史的背景から形成され、発展してきたのかを明らかにし、母国語としての日本語をどう認識し、深く日本語を理解するためには何が必要となるのか、日本人にいま必要とされる習慣とは何なのか、世界の文明史を紐解きながら日本、日本語、日本人のあり方を問いかけている。(館長)

■選書 2

『日本語練習帳』大野晋(著) 日本語練習帳
大野 晋(著)

価格(税込):¥735
新書: 215 p (1999/01/01)
岩波書店 ; ISBN: 4004305969
 著者は1919年生まれの国語学者で日本語に関する著作を多数持つ国語研究の重鎮。本書は学生や社会人のために編集された日本語の練習帳で、大小あわせて250問の問題・課題が収めれている。巻末には配点表があり、問題・課題の合計点数によって判定結果がわかるようになっている。ひととおり読むだけで日本語の理解と感度を高めることができる。じっくりと問題・課題に取り組み、指示に従って練習を続ければ相当な日本語力がつく内容だ。第一章「単語に敏感になろう」、第二章「文法なんかきらい−役に立つか」では問題・課題が続く。問題・課題の内容も考えこむというものではないので、どんどん進めていくことができる。第四章「文章の骨格」では長文の「縮約」という課題が出される。第一章から順に読み進めていれば日本語に対する言語感覚が鋭くなっていくのが実感できる。(館長)

■選書 3

『日本語と外国語』鈴木孝夫(著) 日本語と外国語
鈴木 孝夫(著)

価格(税込):¥819
新書: 242 p (1990/01/22)
岩波書店 ; ISBN: 4004301017

 著者は1926年生まれの言語社会学者。本書は日本語と英語、フランス語、ドイツ語、ロシア語の4言語を比較し、ことばの違いから生じる認識の違いがなぜ起こるのか、どうすれば正しく外国語を理解できるのかを考察したものである。なぜリンゴの色、虹の色、太陽の色が各国で異なるのか、認識情報を裏で支える文化的前提や歴史的背景などを交えながら原因を探っていく。日本語は音声と映像の二つの伝達刺戟を必要とするテレビ型言語であり、西欧の諸言語は音声に必要な情報を託すラジオ型言語であると著者はいう。第4・5章「漢字の知られざる働き」では日本語が宿命的にかかえている弱点とは何なのかを指摘し、その弱点を漢字がどう補っているのかを解明している。外国語を学び、正しく理解するためには、何を重要なことであると認識すべなのか、そのヒントが書かれている。(館長)

■選書 4

『日本語の磨きかた』林望(著) 日本語の磨きかた
林 望(著)

価格(税込):¥693
新書: 226 p (2000/10/01)
PHP研究所 ; ISBN: 4569613209

 著者は1949年生まれの作家、書誌学者。高校教師、大学助教授として30年以上にわたり国語、日本文学を教えてきた教育者でもある。本書は長く教壇に立っきた教育者の著者がどのようにして日本語を磨けばよいのか、実践的なトレーニング法が簡潔にまとめられている。日本語の「読むこと」、「書くこと」、「聞くこと」、「話すこと」のそれぞれについてリンボウ流が貫かれおり、第一部「表現することの自覚」で読みと書き能力を、第二部「話しことばのインテリジェンス」にて聞くと話す能力の磨き方がそれぞれおさめられいる。著者が育った家庭での言語環境を分析し、「言葉のセンス」がどのようにして養われていくのかも検証されている。文部省主導で進められてきた国語教育や日本の入試試験制度の問題点を指摘し、あるべき日本語教育・学習の姿が示されている。(館長)

■選書 5

『ことばと文化』鈴木孝夫(著) ことばと文化
鈴木 孝夫(著)

価格(税込):¥735
新書: 209 p (1973/05/21)
岩波書店 ; ISBN: 4004120985
 本書はことばが異なるということは何を意味し、ことばの性質や特徴の違いが文化へどのような表れ方をするのかをまとめたものである。人間が現実世界を認識するためのものの見方、考え方、切り方が集約したもの、それがことばだと著者はいう。ことばによって概念化され、意味を与えられる部分は一部でしかなく、大半は自分たちでも意識化されることのない「見えない文化」に隠されいるのだと指摘している。異文化でも、自文化でも、文化を深く理解するためには、ことばに意味を与える価値体系としての「見えない文化」を探らねばならない。ことばを辞書と文法書だけで理解するなどということはできたものではないし、異文化の中で機能している枠組みや概念を、日本語に直訳しただけでは、本当に異文化を理解したことにはならないのだと説いている。(館長)

■選書 6

『対談 日本語を考える』大野晋(編集) 対談 日本語を考える
大野 晋(編集)

価格(税込):¥820
文庫: 231 p (1979/09/25)
中央公論新社 ; ISBN: 4122040086
 本書は日本語研究の重鎮、大野晋と作家、文学者、言語学者、哲学者ら8人の論客とともに日本語について対談したもの。司馬遼太郎、丸谷才一、大森荘蔵と日本語で考えるとはどういうことなのか、日本語の根幹にはどういう歴史が埋もれているのかを探っている。日本語の使われ方がどのように変化してきたのか、日本語の骨格はどのようにして形成されてきたのかを議論し、人間にとって言葉とは何なのか、日本人にとって日本語とは何なのかを追求していく。日本語という「ことば」の根本にある仕掛けがどのように動くのか、夏目漱石や森鴎外がどのようにして現代日本語を確立したのか、彼らの文学作品に影響を与えたものは何であったのかも明らかにされている。(館長)

■選書 7

『論文の書き方』清水幾太郎(著) 論文の書き方
清水 幾太郎(著)

価格(税込):¥735
新書: 214 p (1959/03/17)
岩波書店 ; ISBN: 4004150922

 著者は「社会学講義」、「社会心理学」などの著書を持ち、翻訳書にE.H.カー「新しい社会」、「歴史とは何か」、J.テインゲルヘン「新しい経済」など持つ翻訳家、社会学者である。本書の「論文」とは「知的散文」という広い意味で、内容及び形式が知的であるような文章をいい、広く知的散文の書き方を指す。主に大学での卒業論文、レポート、会社内での報告書、講演などの草稿を書く人を想定し、書くことの前に必要な準備や姿勢を説いている。著者の30年以上にわたる文筆生活と経験に反省を加え、書くという行為は何なのか、どのようにすれば書けるようになるのか、著者の行ったトレーニング方法と失敗談が紹介されている。第一章「短文から始めよう」、第二章「誰かの真似をしよう」で書くためのトレーニング法を示し、第六章「裸一貫で攻めよて行こう」で書きはじめる時の注意事項が解説されている。(館長)

■選書 8

『日本語の作文技術』本多勝一(著) 日本語の作文技術
本多 勝一(著)

価格(税込):¥567
文庫: 342 p (1982/01/20)
朝日新聞社出版局 ; ISBN: 4022608080

 著者は朝日新聞社の元記者。朝日新聞東京本社校閲部・北海道支社報道部・東京本社社会部・編集委員を経て、現在朝日新聞社友。訳書に『エスキモーの民話』がある。本書でいう「作文」とは「読む側にとってわかりやすい文章を書くこと」で、著者は「わかりやすい文書を書く」ことは単なる技術であり、だれでも学習し身につけることができると述べている。新聞記者生活で培ったノウハウをもとに「わかりやすい文書を書く技術」を明らかにしている。第二章「修飾する側される側」、第三章「修飾の順序」、第四章「句読点の打ち方」、第五章「漢字とカナの心理」、第六章「助詞の使い方」、第七章「段落」の各章でそれぞれ例を出し「書く技術」とは何かを明らかにしている。第八章「無神経な文章」以降は「書き手の姿勢」や「書き手の責任とは何か」というテーマになっている。(館長)

■選書 9

『日本語をどう書くか』柳父章(著) 日本語をどう書くか
柳父 章(著)

価格(税込):¥2,625
単行本: 216 p (2003/03/01)
法政大学出版局 ; ISBN: 4588436074
 本書は「書き言葉」としての日本語とは一体どんな言葉なのか、「話し言葉」の日本語と「書き言葉」の日本語とは、どこがどう違っているのかを示しながら、「書き言葉」としての日本語の中核に何があるのかを探求している。「書き言葉」の日本語は、「話し言葉」の日本語と大きく異なった言語体系にあり、この違いが日本文化の二重構造をつくりだす源泉になっているのだと著者は指摘する。ウチとソト、ウラとオモテのように「書き言葉」と「話し言葉」は対立する構造を持っているともいう。明治以後、「書き言葉」は言文一致という新しい文章表現法を獲得したものの、その実体は漢文訓読体を受け継いだ西欧語訓読体で、要は「話し言葉」から切り離されてつくられた人工言語なのだと。日本語の「言」と「文」はけっして一致しないものであり、日本語の「書き言葉」を書くには意識的な訓練が必要であると述べている。(館長)

■選書10

『近代日本語の思想』柳父章(著) 近代日本語の思想
柳父 章(著)

価格(税込):¥2,625
単行本: 242 p (2004/11/25)
法政大学出版局 ; ISBN: 4588436104
 本書は近代日本語はどのようにして成立したのか、そしてそれがどのような形で現代日本語のなかに受け継がれているのかを探ったものである。西欧文化をモデルにした日本の近代化は、西欧語の翻訳によって日本語じしんをつくりかえ、日本の文化そのものをつくりかえたのだと著者はいう。現代口語文を構成する文章構造は西欧文の翻訳によってつくられた構造であり、基本となる主語、述語、句読点ですら翻訳文によって取り込まれ、さまざまな試行錯誤を繰り返しながらつくられた文体なのだと指摘する。翻訳による言葉の変化は偶然に、しかも突然発生するもので、異文化を日本文化に受容する過程で起こる。漢字を日本に受容してから千年、古代日本から続く異文化の受容構造は、いまだに「セクハラ」や「アカハラ」という現代日本語のなかに受け継がれ機能しているのだと解き明かしている。(館長)

■選書11

『文章を書くこころ』外山滋比古(著) 文章を書くこころ
外山 滋比古(著)

価格(税込):¥470
文庫: 216 p (1995/02/15)
PHP研究所 ; ISBN: 4569567355

 著者は1923年生まれの英文学者。月刊英語雑誌『英語少年』の編集長を務めた経験があり、お茶の水女子大学や昭和女子大学で教鞭を執っていた。現在はお茶の水女子大学の名誉教授を務めている。文章がうまく書けるようになるためには「いますぐ文章を書きはじめること」だと著者はいっている。毎日、何でもいいから文章を書き続ければ、自然と上達するのだと。気取らず、とにかく文章を書き続け、決してやめなければいい。一番よくないのが自分で自分をダメだと思い込んでしまうことだともいっている。ものを書く才能がないと嘆くよりも、書く努力を続けること、上手に書けるようになりたいという気持ちを持ち続けることが大切なのだと述べている。(館長)

■選書12

『考える技術・書く技術』板坂元(著) 考える技術・書く技術
板坂 元(著)

価格(税込):¥735
新書: 211p (1973/08/31)
講談社 ; ISBN: 4061157272
 著者はケンブリッジ大学やハーバード大学で日本文学・日本語の教鞭をとっていたことのある日本文学者。日本古典文学に造詣が深く『西鶴集・上』では好色一代男を担当している。本書は日本語の「読み」と「書き」能力をどのようにして訓練すればよいのか、著者が行ってきたトレーニング手法を綴ったものだ。ものを書く前の準備にはじまり情報収集・整理ノウハウ、頭を活性化させるためのヒント、頭をほぐすための「ブレーン・ストーミング読書法」などが紹介されている。第3章の「精読の工夫」では反読書法、つんどくなどの「読む」技術にふれながらどのような読書法を確立すれば見通しのきく考え方ができるか、表通りと裏通りの読書法を解説しながらその訓練法を明らかしている。(館長)
■選書13

『「超」文章法』野口悠紀雄(著) 「超」文章法
野口 悠紀雄(著)

価格(税込):¥819
新書: 265 p (2002/10/25)
中央公論新社 ; ISBN: 4121016629

 著者はエール大学で経済学博士号を取得している博士で『「超」勉強法』、『「超整理法』などで知られている大学教授。現在、青山学院大学大学院国際マネジメント研究科の教授。本書が対象とする文章は論文、課題論文、解説文、報告文、企画書、論評、批評、エッセイ、紀行文としている。最大の売りは「すぐ使える文章作成のマニュアル」となるために執筆されているところで「ためになり、面白く、わかりやすい」文章を書くためにはどうすればよいのか、著者が行ってきた執筆活動を整理し、実体験からすぐ使える文章作成法が導き出されている。おもしろいところは第2章「骨組みを作る」で、『指輪物語』、『桃太郎』などの冒険物語に共通するストーリ展開の骨組みを抜き出し、文章作成の応用法を展開しているところだろう。(館長)

■選書14

『「ことば」は「こころ」』外山滋比古(著) 「ことば」は「こころ」
外山 滋比古(著)

価格(税込):¥1,344
単行本: 246 p (1997/03/22)
講談社 ; ISBN: 4062640465

 著者は1923年生まれの英文学者。月刊英語雑誌『英語少年』の編集長を務めた経験があり、お茶の水女子大学や昭和女子大学で教鞭を執っていた。現在はお茶の水女子大学の名誉教授を務めている。本書は「ことばづかいはこころづかいである」という観点から、日本語の話しことばを論じたものである。ことばとは、ことばを話す人間そのものと深くかかわりをもっており、話者の「こころ」そのものであると著者はいう。ことばの本質を忘れて使われる敬語、意味のわからないカタカナ語の氾濫などを指摘しながら、日本のことば文化とはどうものなのか。話すことばひとつで、好ましい人にもなれば、いやな感じにもなってしまうのはなぜなのか。話し方がうまければ、ほんとうに人間関係や仕事もうまくいくのかなどに答えている。(館長)

■選書15 

『日本語は国際語になりうるか』鈴木孝夫(著) 日本語は国際語になりうるか
鈴木 孝夫(著)

価格(税込):¥840
文庫: 242 p (1995/07/10)
講談社 ; ISBN: 4061591886
 著者は1926年生まれの言語社会学者。本書は経済大国として日本がもつべき言語戦略について考察したものだ。日本語を国際語として普及させることにどんな意味があり、どんな国益があるのかがまとめられている。著者は古代中国から現代いたるさまざな言語文化財が日本語に翻訳され、質・量ともに世界最高の知的文化的情報が存在しているという。日本語が読めて、理解できるとはどういうことなのか、他の言語にはない「強み」を明らかにしている。経済大国となった日本に求められている自覚と認識は何なのか、日本語に求められている役割とは何なのか、国際化の本当の姿とは何なのか、経済的な豊かさの背後に潜む侵略性や国家エゴを指摘しながら答えている。(館長)

■選書16

『教養としての言語学』鈴木孝夫(著) 教養としての言語学
鈴木 孝夫(著)

価格(税込):¥819
新書: 239 p (1996/09/20)
岩波書店 ; ISBN: 4004304601
 本書は記号言語学の研究から言語の本質を探ったものである。人間にとって言語とは何なのか、文化文明にとって言語とは何なのか、日本人にとって日本語とはどのような言語なのかを掘り下げている。文字の重要性が高まった現代社会であっても、人間の言語の実体は音声にあるのだと著者はいう。ことばを記号論的な観点から分析してみれば、人間の言語も小鳥や蜜蜂が用いることばと比較することができ、実際に比較してみることで人間の言語の特徴を捉えようとしている。キリスト教的世界観や進化論的な見方に基づく西欧言語学の盲点を突きながら、人間の言語を考える上でヒントとなる研究事例を紹介し、日本語における外来語の問題、文化文明と言語の関係、言語間の言語干渉の問題を取り上げている。(館長)

■選書17 

『武器としてのことば 鈴木孝夫著作集4』鈴木孝夫(著) 武器としてのことば 鈴木孝夫著作集4
鈴木 孝夫(著)

価格(税込):¥3,885
単行本: 330 p (2000/02/07)
岩波書店 ; ISBN: 4000923145
 本書は経済大国として日本が持つべき言語的国家戦略を提示したもの。明治政府によってつくりだされた英独仏の3言語を中心とする言語的国家戦略はすでに機能せず、「あばたもえくぼ」式の西欧中心の考え方やものの見方などに盲従してはならないと著者はいう。大東亜戦争で敗戦した日本に残された外交手段は「ことば」しかないのであり、経済的利害の衝突する国際場裡で、国益を追求し、権益を確保するには「ことば」を巧みに使いこなさなければならないのだと。すべての日本人が英語を話せるようになる必要などないし、国際的に通用する本物の英語能力は誰にでも習得できるものではない。日本人の心の中に偶像化され、理想化されている虚像の欧米イメージを打ち砕き、あるがままの世界の姿を日本語で考え、日本語を世界で通用させるための長期的な努力と巨額の投資が、何より必要だと説いている。(館長)

■選書18 

『閉された言語・日本語の世界 鈴木孝夫著作集2』鈴木孝夫(著) 閉された言語・日本語の世界 鈴木孝夫著作集2
鈴木 孝夫(著)

価格(税込):¥3,675
単行本: 337 p (2000/01/06)
岩波書店 ; ISBN: 4000923129
 本書は日本が伝統的に行ってきた「モノと文献」による外来文化の受容方法から引き起こされてくる自国文化ならびに日本語への劣等感覚、劣等意識がどのようにして生まれ、現代日本社会に受け継がれているのかを探ったものである。明治をへて近代化を達成した現代日本には、いまだに西欧を「最上」とする非現実的、幻想的ともいうべき単純化された「ものの見方」から抜けきれていないと著者は指摘する。世界に存在する約3500種の言語のなかで、日本語と全く異なった言語体系を持つ英語などのヨーロッパ言語と比較すれば「違う」のは当然なことであって、それを不便だとか、非能率などと評価し、劣っていると思い込むのは、大きな間違いであり、生産的な発想ではないと説いている。(館長)

■選書19

『翻訳文化を考える』柳父章(著) 翻訳文化を考える
柳父 章(著)

価格(税込):¥2,310
単行本: 243 p (1978/07/10)
法政大学出版局 ; ISBN: 4588436031
 本書は先進異文化の受容のためにつくられた日本の翻訳文化とはどのような文化なのかを探ったものである。異文化を受容する際に動き出す日本語の受容機能と翻訳語との関係を明らかにしたうえで、現代日本語がどのようにしてつくられてきたのかをさかのぼっていく。現代日本語の中には、伝統的な大和ことば、中国渡来のことば、西欧語からの翻訳語と外来語という三つの異質な層があると著者はいう。明治初期につくられた「社会」などの翻訳語は、明治以前に浸透していた和漢混交型の考え方を応用してつくられた言葉で、言文一致体や現代口語文という文章構造すら、西欧文をモデルにしてつくられた翻訳日本文なのだと。翻訳語という意味の乏しい言葉は、後から意味づけされてつくられていく言葉であって、このような異文化受容法はオモテ・ウラに通じる日本文化の基本「形」になっていると分析している。(館長)

■選書20

『翻訳とはなにか』柳父章(著) 翻訳とはなにか
柳父 章(著)

価格(税込):¥2,625
単行本: 217 p (2003/04/23)
法政大学出版局 ; ISBN: 4588436090
 本書は日本語の文中に組み込まれている翻訳語にはどのような特殊効果が含まれているのかを探ったものである。幕末・明治初期に造られた「自由」や「社会」などの翻訳語は、誰によって造られ、どのような流通過程をへて一般に使われるようになったのかを明らかしている。短期間のうちに日本を近代化するために開発された明治の翻訳方法は、訳語の意味が不十分でも、論理が矛盾していても、もっともらしい日本文に仕立てあげることができる翻訳方法だと著者は指摘する。翻訳語は、原語の訳語として十分な意味づけや使い方がはっきしないまま翻訳文に組み込まれて流通し、意味がはっきりしないからこそ、そこに特別な意味があるような特殊効果「カセット効果」をつくりだすことができるコトバなのだと語っている。(館長)

■選書21

『翻訳と日本の近代』丸山眞男 加藤周一(著) 翻訳と日本の近代
丸山 眞男 加藤 周一(著)

価格(税込):¥735
新書: 189 p (1998/10/20)
岩波書店 ; ISBN: 4004305802
 本書は日本の近代化がなぜ成功したのか、近代化を可能にした翻訳とは何であったのかを明らかにしたものである。江戸時代に育まれた翻訳文化と明治政府が主導した近代化がどのように結びついたのか。江戸、明治の大翻訳家たちが成し遂げた大事業の一端から、先人たちが描いた国家像とはどういうものであったのかを紹介し、翻訳書に込められた翻訳家の思想を探っていく。漢文概念を駆使して翻訳された江戸の翻訳文化とは何か。近代化によって失なわれた日本人の歴史意識と翻訳文化にはどのような関係があるのか。グローバル化が急速に進むなか、現代日本の翻訳文化はどうあるべきなのか問いかけている。(館長)

■選書22

『翻訳語の論理』柳父章(著) 翻訳語の論理
柳父 章(著)

価格(税込):¥3,360
単行本: 341 p (2003/01/20)
法政大学出版局 ; ISBN: 4588436066
 本書は現代日本語の中に宿る古代日本文化の正体を探ったものである。人間が使う言葉には伝達、表現、思考の機能を持つが、けっして従順な「道具」ではないと著者はいう。日本には和漢混交の「型」が千年の時をかけてつくりあげられており、日本語の文体、日本人のものの考え方、日本人のものの理解の仕方の「型」として組み込まれていると指摘する。和漢混交の「型」がどのようにして生まれ、現代に受け継がれているのか。古代知識人たちが書き残した『万葉集』を手がかりに、素朴な大和言葉がどのようにして現代日本語に進化してきたのか。その進化の過程に「翻訳」がどのような役割を果してきたのかを明らかにしている。(館長)

■選書23

『愛 一語の辞典』柳父章(著) 愛 一語の辞典
柳父 章(著)

価格(税込):¥1,050
単行本: 101 p (2001/05/10)
三省堂 ; ISBN: 4385422036
 本書は翻訳語「愛」が持つ独特の語感には何が隠されているのかを探求したものである。現代日本語「愛」の中には、どのような意味や概念が埋もれているのか、古代日本における翻訳語「愛」、明治からはじまる翻訳語「愛」の違いを明らかにし、現代日本語のなかで生き続ける「愛」を捉え直していく。万葉集に残された中国語からの翻訳語「愛」、明治に完成したキリスト教聖書の日本語訳に出現する「愛」。古代日本語「愛」は、日本語訳聖書「愛」と出会い、新たな役割を背負ったと著者はいう。古代ギリシャを起源とする「エロス」と「アガペー」が、どのようにして西洋キリスト教文化圏のなかで「ラブ」や「リーベ」に翻訳されていったのか。聖書翻訳に命のかけた翻訳者たちが造りだした訳語が、どのようにして現代日本語「愛」の中に受け継がれているのかを明らかにしている。(館長)

■選書24

『文化 一語の辞典』柳父章(著) 文化 一語の辞典
柳父 章(著)

価格(税込):¥1,050
単行本: 100 p (1995/12/01)
三省堂 ; ISBN: 4385422052
 本書は翻訳語「文化」の中に混在している複数の抽象概念を明らかにし、その語源にさかのぼって現代日本語「文化」のあり方を捉えなおしたものである。現代日本語「文化」の中には、漢籍渡来の意味と西洋語の意味があり、新たにつけくわえられた意味もあると著者はいう。福沢諭吉が創りだした「文明開化」。文明にむかって「開化」するという福沢のものの見方、考え方により生まれた西欧との比較。西欧との対比により認識され、概念化され、創られたもの、それが近代日本語「文化」の中核にあったのだと。江戸時代から使われてきた漢籍渡来の「文化」、明治初期のシヴィリーゼーションの訳語「文化」、ドイツ語のクルトゥールの意味を受け取った大正昭和の「文化」など、時代により「文化」がどのようして使われてきたのかをふりかえり、これから創られてゆくであろう「文化」の中身を考察している。(館長)

■選書25

『インターネットで日本語はどうなるか』西垣通 ジョナサン・ルイス(著) インターネットで日本語はどうなるか
西垣 通 ジョナサン・ルイス(著)

価格(税込):¥2,100
単行本: 250 p (2001/03/26)
岩波書店 ; ISBN: 4000221078
 著者である西垣氏は情報学を専門とする工学博士で大学教授。共著者のルイス氏は学生時代にドイツ、日本で英会話講師として働いていた経歴を持っており、イギリスの政治学者で大学助教授。本書はインターネットを情報収集ツール、コミュニケーションツールとして活用する際に問題となる言語の壁について取り上げ、英語による独占的言語環境から日本語を含む多言語環境がどのようにして整備されてきたのか、ユニコードの誕生とその仕組みを解説している。第5章「翻訳とコンピュータ」ではIT革命による急激な情報処理技術の発展が機械翻訳にあたえる影響を分析しその歴史を振り返りながら、機械翻訳の可能性について言及している。(館長)

■選書26

『「分かりやすい表現」の技術』藤沢晃治(著) 「分かりやすい表現」の技術
藤沢 晃治(著)

価格(税込):¥840
新書: 189 p (1999/03/20)
講談社 ; ISBN: 4062572451
 本書はビジネスで報告書を書く、大切な顧客とメール交換する、ホームページでコラムを書くなど情報発信に慣れてきた人が忘れがちな最も大事な情報発信の基本を思い出させくれる一冊。人にわかりやすく情報を伝えるためには、まず情報の受け手である読者、聞き手、受け手の立場になって情報発信するのことの大切さをあげている。受け手に対する親切心が、すべての基礎であるという。受け手を無視したひとりよがりな態度や姿勢が「分かりにくさ」を生み出し、ちょとした工夫やアイデアの創造を妨げる。巻末には「受け手にも自分と同じように見えるだろうという前提」など情報発信者が陥りやすい盲点を16のチェックポイントでチェックすることができる。(館長)

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