◆━2003/11/28 第0015号━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━◆
◇◇通訳翻訳ビジネスレポート◇◇
http://www.ithouse.net/
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◇目次━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
<投稿記事>
◆「業界誌がなくなる」平岩大樹(通訳翻訳館)
<書籍紹介>
◆『「分かりやすい表現」の技術』藤沢晃治(著)
◆『7つの習慣』スティーブン・R・コヴィー(著)川西茂(訳)
◆『スターバックス成功物語』ハワード・シュルツ
他(著)小幡照雄 他(訳)
◆『フォーカス』アル・リース(著)島田陽介(訳)
<編集後記>
◆「南極皆既日食」
<投稿募集>
◆「あなたからの投稿を掲載します」
<= 投稿記事 =>―――――――――――――――――――――――――――――――
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■◇「業界誌がなくなる」
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通訳翻訳業界を専門に扱う業界誌が廃刊になったり、縮小の道をたどっている。い
ったい何が起こっているのだろうか。通訳翻訳館サイトを運営していて、みえてきた
もの、感じたこと、学んだことをまとめてみたい。
業界誌を含む出版ビジネスの現状は非常によくない。大手出版社がそろって赤字を
計上するなど、実際に本や雑誌が売れないのである。焦った出版社は出版マーケット
に中身の薄い本や出版ラインを増やしただけの商品を大量投入している。しかし、数
を売って利益を確保する販売作戦はあまり機能していない。
出版社の息のかかった評論家たちは、ここ数年「インターネットによる本離れ」、
「漫画や携帯電話への消費シフト」などとピントのはずれた論評を展開してきた。最
近になって、一部のメディアから「本離れは起こっていなかった」と主張されるにい
たり、消費者は本を買わなくなっただけで読書量は変わっていないことがわかりはじ
めた。
長引くデフレ経済のもと経済不安、生活不安が高まるなかでお金を使わなくても本
が手軽に借りられるなら、だれでもそうする。公共図書館や大学図書館のIT化が進
みインターネットによる資料予約、蔵書資料検索、メールによる貸し出し連絡など図
書館の利便性が飛躍的に高まっている。
高度な専門書から新書まで、インターネットを使って貸し出し予約できる公共図書
館のIT化には目を見張るものがある。東京の練馬区では、区内全域に散らばった1
1の区立図書館が蔵書データベースをネットワーク化し、インターネットで蔵書資料
検索や貸し出し予約ができる環境を整備した。
練馬区のような区立図書館のIT化は、2001年1月に日本政府が掲げた国家戦
略「e−japan重点計画」により実施されている。「2005年に世界最先端の
IT国家となる」という国家ビジョンのもと、「ITを経済・社会のあらゆる局面に
効果的に利活用し、国際社会の中で、豊かな国民生活や事業活動ができる」ようにな
るためのほんの小さな一歩だ。
インターネットを使って手軽に本の貸し出し予約ができるようになった区立図書館
は、実に便利である。どんな書籍に人気があるのか、どれだけ待てば自分の番に回っ
てくるのかがすぐにわかる。人気図書は数十冊単位で用意されてはいるものの予約者
が圧倒的に多いため数ヶ月以上も待たねばならないほどだ。
たとえば、練馬区の区立図書館データベースにアクセスしてみると桐野夏生の『グ
ロテスク』は所蔵数28冊に対して予約者数が600名。養老孟司の『バカの壁』は
所蔵数35冊に対して予約者数が500名。J.K.ローリングの『ハリー・ポッタ
ーと炎のゴブレット 上』は所蔵数63冊に対して予約者数が350名となっている
。
人気図書に予約を入れたとしても半年以上は待たねばならない。だが、専門書やあ
まり注目されない良書などは簡単に借りることができる。予約のタイミングがよけれ
ば翌日の夕方に借りることも可能だ。図書館で専門書や良書が手軽に読めるようにな
ると、週刊や月刊で発売される雑誌にも大きな影響を与える。
大手出版社のように優秀な編集スタッフや記者を使っても雑誌は売れない。そのた
め、よく知られた週刊誌や月刊誌がバタバタと廃刊に追い込まれ消えていった。なぜ
多くの週刊誌や月刊誌が消えていったのか、それは売れないからだ。読者の興味を広
げ、興奮させ、感動させることがなくなったから読者は買わなくなった。ただそれだ
けのことなのだ。
専門書や良書は手軽に図書館で借りられる。インターネット上に公開されている業
界のオピニオンリーダーや専門家のウェブサイトにも簡単にアクセスできる。無料の
メールマガジンで多種多様な主張や意見をタダで読むこともできる。そうすべてタダ
だ。
読者はバカではない。興味を広げ、興奮させ、感動させることのなくなった週刊誌
や月刊誌に大切なお金など払わない。消えていった週刊誌や月刊誌になくなったもの
は「情熱」だ。読者にゴマスリするような記事や特集など読みたくもない。そんなも
の読者は求めていない。
だから良書は図書館で人気を集める。業界のオピニオンリーダーや専門家のウェブ
サイト、無料で発行されているメールマガジンにも読者は集まる。読者が求めている
は「情熱」だ。「情熱」のないものは無料でも読まれない。時間がもったいないから
だ。
それでは、通訳翻訳業界を専門に扱う業界誌はどうだろう。読者の興味を広げ、興
奮させ、感動させることができただろうか。それも継続してだ。たしかに読者の興味
を広げ、興奮させ、感動させることもあった。
だが、締切に追われるあまり、誰のために、何を実現するために、そして何に対し
て「情熱」をたたきつけているのか読者にはわからなくなった。当然、読者はバカで
はない。読者は興味を広げ、興奮させ、感動させることのなくなったものに大切なお
金は払わない。その結果、通訳翻訳業界を専門に扱う業界誌は廃刊や縮小の道をたど
っている。
(平岩大樹=通訳翻訳館)
[この記事は通訳翻訳館ウェブサイトにも掲載されています]
◇掲載記事
http://www.ithouse.net/japanese/column/doc/20031128.htm
◇いままでの記事一覧
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<= 書籍紹介 =>―――――――――――――――――――――――――――――――
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■◇『「分かりやすい表現」の技術』
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【著者】藤沢 晃治
【出版社】講談社
【発刊年月】1999年3月20日
【本体価格】800円 (税抜き)
【ページ数】189p
【ISBN】4062572451
【購入】http://www.amazon.co.jp/exec/obidos/ASIN/4062572451/ithouse-22
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親切心あるいはサービス精神は、テクニックの問題ではなく、心構えの問題です。
「分かりやすい表現」のテクニックを早く手に入れたい読者にとっては、心構えや精
神論などは読み飛ばしたいところでしょう。しかし親切心は、すべてのテクニックの
土台です。
本文49pより抜粋
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本書はビジネスで報告書を書く、大切な顧客とメール交換する、ホームページでコ
ラムを書くなど情報発信に慣れてきた人が忘れがちな最も大事な情報発信の基本を思
い出させくれる一冊。
人にわかりやすく情報を伝えるためには、まず情報の受け手である読者、聞き手、
受け手の立場になって情報発信するのことの大切さをあげている。受け手に対する親
切心が、すべての基礎であるという。
受け手を無視したひとりよがりな態度や姿勢が「分かりにくさ」を生み出し、ちょ
とした工夫やアイデアの創造を妨げる。巻末には「受け手にも自分と同じように見え
るだろうという前提」など情報発信者が陥りやすい盲点を16のチェックポイントで
チェックすることができる。
◇そのほかのオススメ選書をみる
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■◇『7つの習慣』
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【著者】スティーブン・R・コヴィー
【翻訳】川西 茂
【出版社】キングベアー出版
【発刊年月】1996年12月25日
【本体価格】1942円 (税抜き)
【ページ数】492p
【ISBN】4906638015
【購入】http://www.amazon.co.jp/exec/obidos/ASIN/4906638015/ithouse-22
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私たちの持つパラダイム、頭の中に描く地図が、こうした原則や自然の法則に一致す
ればするほど、それは正確かつ機能的なものになる。正しい地図を持てば、個人の、
または人間関係における効果性に、無限のインパクトを与えることになる。それは行
動や態度を改めようとするいかなる努力をも、はるかにしのぐものである
本文34pより抜粋
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本書は人の成功とは何なのかを探求した書である。過去200年間にわたり米国で
出版され、蓄積された成功に関する文献を分析し、その結果をもとにビジネス、家庭
生活、地域社会において成功することとは何なのか、読者に問いかけている。
正直、誠実、正義、公平などの原理原則がビジネスやコミュニケーションにとって
どのようなものであり不正、二面性、不誠実、傲慢は何をもたらすのか。うわべや、
思いつきではなく、心の奥底から湧き上がってくる情熱に使命を与え、目標を設定す
るにはどうすればよいのか、著者は7つの習慣を提示している。
人格を磨き、社会に奉仕し、多くの人を幸せにすることで生かされ、理解され、尊
敬されるという。薄っぺらなコミュニケーションではなく、心と心をかよわせたコミ
ュニケーションが信頼を生みだし、他人の立場や視点で考えることができるようにな
ってはじめて他人を理解することができると説いている。
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■◇『スターバックス成功物語』
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【著者】ハワード・シュルツ ドリー・ジョーンズ・ヤング
【翻訳】小幡照雄 大川修二
【出版社】日経BP社
【発刊年月】1998年4月27日
【本体価格】1800円 (税抜き)
【ページ数】462p
【ISBN】4822241130
【購入】http://www.amazon.co.jp/exec/obidos/ASIN/4822241130/ithouse-22
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ロマンとビジョンのない企業には魂も精神も宿らず、何か素晴らしい事を成し遂げよ
うという社員の意欲をかき立てることはできない。だが、成功した企業もとっぴなア
イデアだけでは長続きしない。ビジネスの世界では、夢想家たちは指導者になれず失
敗してきた。運営能力を欠いていたからだ。
本文214pより抜粋
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著者は居心地のよい空間で高品質なコーヒーを楽しめるスターバックスコーヒーの
CEO。米国シアトルの小さなコーヒーショップから世界規模で展開するスターバッ
クスコーヒーのビジョンを掲げ実現させた人。
本書はシアトルの小さなコーヒー豆販売店から出発し世界規模で展開するまで成長
したスターバックスの軌跡が綴られている。良質のコーヒーだけでなく顧客に何を提
供し、何を大切にしてきたのか。成功した秘訣とは何だったのかが述べれている。
だれにも相手にされなかった事業計画、予測もしない緊急事態、進出店舗立地の失
敗、急成長にともなう組織のきしみ、ブランドを築きあげた社員教育。メディアが取
上げないスターバックスの強さと本当の姿がみえてくる一冊である。
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■◇『フォーカス』
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【著者】アル・リース
【監訳】島田 陽介
【出版社】ダイヤモンド社
【発刊年月】1997年4月17日
【本体価格】2200円 (税抜き)
【ページ数】300p
【ISBN】4478372098
【購入】http://www.amazon.co.jp/exec/obidos/ASIN/4478372098/ithouse-22
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未来を担う製品、サービス、アイデアを見つけることは困難ではない。困難なのは、
そこから一つだけ、フォーカスすべきコンセプトを選ぶこと、である。一つを選ぶこ
とで、ほかを犠牲にすることをいやがる企業が多い。未来へのレースに馬をいっぱい
走らせたいのだ。もっとものように思える。だが、それはうまくいかない。
本文286pより抜粋
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本書は特定分野に製品やサービスに特化すること、得意分野に集中して事業を展開
することの利点を説いている。理念なき製品・サービスの拡張や事業の多角化はどの
ようなマイナス効果を生むのか。あらゆる分野に手を出すとどうなるのか。
IBM、ゼロックス、クライスラーなど米国一流企業のフォーカス失敗例からその
要因を抽出。デルコンピュータ、コカ・コーラ、ダンキン・ドーナツなどの成功企業
が何にフォーカスしたのか。失敗した企業と成功した企業を比較分析している。
何でも屋から専門家へ、百貨店から専門店になることにどのようなメリットがあり
どうすればいいのか。競争が激化するなかで生き残るためのヒントを「効果的にフォ
ーカスする15の原則」で提示している。
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<= 編集後記 =>―――――――――――――――――――――――――――――――
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■◇「南極皆既日食」
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南極皆既日食をNHKの特番でみた。はっきりいって感動した。映像テクノロジー
進歩にも驚いた。「南極の特番なんて珍しいなぁ〜」と軽い気持ちでテレビをつけた
だけだったし、皆既日食の特集だとは思ってもいなかった。
月の影に隠れて真っ黒になった太陽のかすかなリング部分。月の影に隠れることで
観ることができるプロミネンス。オレンジ色に輝くコロナ。こんなことが毎日、おて
んとうさまで起こっている。知ってはいるが、あまり実感することのない事実。
小学校や中学校の理科で教わったコロナやプロミネンスの記憶が一瞬にしてよみが
える。巨大な火柱のプロミネンス活動、ダイヤモンドリングの輝き、暗闇に包まれる
奇妙な静けさ。少年時代に感じた興奮と感動をまた味わった。
テロ、戦争、バイオウィルスの恐怖、経済不況、政治不信、リストラとあまり明る
い話題がない。そんななか、人間の想像を越えた天体の営みをじかに観ると宇宙や天
体活動への関心を引き起こさずにはいられない。(平)
<= 投稿募集 =>――――――――――――――――――――――――――――――
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■◇「あなたからの投稿を掲載します」
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「通訳翻訳ビジネスレポート」ではメディアが取り上げない通訳翻訳業界の現状を
取り上げ多くの方々と情報共有するべく投稿原稿を幅広く取り上げております。応募
の資格は「通訳翻訳ビジネスレポート」の読者であればどなたでも応募いただけます
。
原稿内にはご自身のホームページの表記も認めますが、表記によるトラブルについ
ての責任は一切負いかねますのでご了承ください。なお、応募原稿全てを掲載したい
ところですが編集部が掲載を判断したものに限らせていただきます。
原稿は下記の体裁でお送りください。掲載の成否は1週間以内に必ずご連絡いたし
ます。採用させていただいた原稿は通訳翻訳館ウェブサイト「投稿コラム」に掲載し
「通訳翻訳ビジネスレポート」メールマガジンにも掲載させていただきます。なお将
来的に「投稿コラム」は出版物として出版する可能性もありますのであらかじめご了
承ください。
応募原稿体裁―「通訳」または「翻訳」をキーワードに政治・経済・文化などにつ
いてのあなたご自身のご意見を1行全角38字詰め、総字数1000字〜2000字(見出しを
含む)にまとめ、下記アドレスへお送りください。メールアドレスのみの匿名による
応募も受け付けますが会社名、氏名、メールアドレス、ホームページURLの表記を
ご希望の方は記入ください。
原稿の成否に関するお問い合わせ、及び成否の理由についてのお答えは一切できま
せんのでご承知おきください。お手数ですが、送信メールの件名には必ず「投稿」と
いう文言を記入してください。
随時募集いたしております、奮ってご応募ください。
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