◆━2004/12/15 第0044号━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━◆
◇◇通訳翻訳ビジネスレポート◇◇
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◇目次━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
<投稿記事>
◆「読者のための翻訳」平岩大樹(通訳翻訳館)
<推薦翻訳書>
◆『エンデュアランス号』キャロライン・アレグザンダー(著)
畔上司(訳)
◆『トム・ピーターズの起死回生』トム・ピーターズ(著)
仁平和夫(訳)
◆『ビジョナリー・カンパニー2』ジェームズ・C・コリンズ(著)
山岡洋一(訳)
<館長室だより>
◆「黄色の歩道」平岩大樹(通訳翻訳館)
<投稿募集>
◆「あなたからの投稿を掲載します」
<= 投稿記事 =>―――――――――――――――――――――――――――――――
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■◇「読者のための翻訳」
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権威づけのための翻訳をやめればいい。ニセ学者と共同で「みせかけの権威」を活
用するのはやめるべきである。ついでに、インチキ翻訳者を使うのもやめれば、もっ
といい。「みせかけの権威」や「インチキ翻訳」をありがたく拝んでいる人間は、も
ういない。
かつて、政治と宗教が一体化して政治を権威づけしたように、日本では学問と翻訳
が一体化して学問を権威づけしてきた。政治と宗教が分離したように、学問と翻訳も
分離すべき時がきている。「インチキ翻訳」でつくりあげる「みせかけの権威」は、
すでに機能していない。
ニセ学者たちの「みせかけの権威」を演出する奇劇は終演だ。本物の学問を志す者
にも迷惑だ。ホンダ、ソニー、トヨタは「ユーザーのための製品開発」をやって世界
の一流企業に成長した。翻訳も「読者のための翻訳」を目指し、いつまでも「みせか
けの権威」に従属していることはない。
失われた10年か、はたまた20年か知らないが「読者のための翻訳」を目指して
いれば、日本の現状は違った姿になっていた。三流翻訳書が書店の店先に山積みされ
ていることも、ニセ学者とインチキ翻訳者が対談することもなかった。何より三流翻
訳書が与えた政治、経済、文化への影響が大きすぎる。
はったり、ごまかし、テクニックに溺れた人間や組織を生み出した源泉は、このニ
セ学者とインチキ翻訳者の仕業である。ニセ翻訳は奇形の日本語を生み出し、その奇
形日本語は日本人の考え方、生き方、価値観に多大な影響を与えた。日本語がおかし
くなったのも、日本社会が迷走しているのも、この奇形日本語に起因している。
「読解力の低下」などといって騒いでいる場合ではない。問題は、ニセ学者とイン
チキ翻訳者の奇形日本語だ。奇形日本語は、たしかに見た目は日本語だ。ところが、
日本語では理解できない。わざわざ日本語では解読できない「型」をつくりあげるこ
とで「権威づけ」してある。
理解させない、わからせない、そうやって「みせかけの権威」をつくりあげてきた
。せこい「権威づけ」のために翻訳を悪用し、自らの権威のため、権力のため、支配
者のために翻訳を従属させてきた。それが、ニセ学者とインチキ翻訳者たちである。
ニセ学者とインチキ翻訳者の「みせかけの権威」のために、多くの若者たちが犠牲
になってきた。本物の学問を志す者、翻訳に情熱と使命を持った翻訳家たちが犠牲に
なってきた。
「読解力」が問題なのは高校生じゃない。「読解力の低下」などといって、ニセ学
者とインチキ翻訳者に加担している愚か者の「読み解く力」が問題なのである。日本
の将来を担う若者たちを攻撃して何になる。そんなことをするより、ニセ学者とイン
チキ翻訳者の「みせかけの権威」を攻撃しなければならない。
ニセ学者とインチキ翻訳者の「みせかけの権威」は、すでに機能不全を起こし危篤
状態にある。このまま、安らかに成仏してもらえば、それでいい。「読解力の低下」
などといって騒ぎ立て「みせかけの権威」を延命しようとしても無駄だ。
「みせかけの権威」は形式となり、文化に吸収される運命にある。翻訳は一流の翻訳
家に、学問を志す者は一流の翻訳から学び、自らの学問を創造しなければならないの
である。そこから、新しい日本が生まれてくる。
(平岩大樹=通訳翻訳館)
[この記事は通訳翻訳館ウェブサイトにも掲載されています]
◇掲載記事
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<= 推薦翻訳書 =>――――――――――――――――――――――――――――――
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■◇『エンデュアランス号―シャクルトン南極探検の全記録』
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【翻訳家】畔上 司
【著者】キャロライン・アレグザンダー
【写真】フランク・ハーレー
【出版社】ソニーマガジンズ
【発刊年月】2002年09月17日
【本体価格】3780円 (税込)
【ページ数】356p
【ISBN】4789719219
【購入】http://www.ithouse.net/japanese/ac/bk_4789719219.htm
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計算されたすべての言葉と動きの背後には、部下のために最善を尽くすという、堅忍
不抜の決意があった。危機に際しシャクルトンが発揮した天才的リーダーシップの中
核には、信念があった。
本文329pより抜粋
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本書は2年間の南極漂流をへて無事生還したエンデュアランス号南極探検隊につい
てまとめたもの。隊長サー・アーネスト・シャクルトンの天才的リーダーシップだけ
に光をあてるのではなく、個性溢れる28名の隊員ひとり一人に光をあてているのが
特徴。
南極探険隊の写真記録担当フランク・ハーレーが残した130枚以上にわたる写真
記録が載せられており、雄大な氷山、チェスに興じる隊員、分厚い氷盤に閉じ込めれ
押しつぶされていくエンデュアランス号の姿が写っている。
シャクルトンの著書、隊員たちが書き残した日記、フランク・ハーレーの写真記録
をもとに南極探検隊が直面した試練の数々、ぎりぎりまで追い詰められた隊員の心情
、生死をかけた船出の瞬間を伝えている。
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■◇『トム・ピーターズの起死回生』
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【翻訳家】仁平 和夫
【著者】トム・ピーターズ
【出版社】ティビーエスブリタニカ
【発刊年月】1998年6月30日
【本体価格】1600円 (税抜き)
【ページ数】414p
【ISBN】4484981092
【購入】http://www.ithouse.net/japanese/ac/bk_4484981092.htm
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ビジネスの真髄は、サービスと成長とイノベーションにある(公共サービスも同じだ
)。だとすれば、毎日の仕事こそが大事ではないのか。心を込め、全知全霊を傾け、
人間のもつ可能性(自分だけに限らず、同僚や顧客のもつ可能性)を少しでも高めよ
うと力を尽くすのが、毎日の仕事のあるべき姿ではないのか。
本文130pより抜粋
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著者は経営コンサルタント会社マッキンゼーから独立した経営コンサルタントで経
営学博士。米国一流企業だけでなく南米、ヨーロッパ、中東、東南アジアでビジネス
展開する企業の経営コンサルティングも数多く手がけている。
著者は人と違うことをやらなければ大きな成功はないといっている。人と違うこと
をやるには勇気がいるし、馬鹿にされ、拒絶され、市場で歓迎されるまで苦難の道を
何年も歩くことになるとはっきり忠告する。
本気でリーダーを志すなら、拒絶される苦しみに耐え、その苦しみに耐える覚悟を
しろとも語っている。使命とビジョンを掲げ、巌(いわお)のごとき信念と尋常なら
ざる忍耐力もち、叩かれたも挫けない人は、最後に世界を変えると言い切っている。
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■◇『ビジョナリー・カンパニー 2』
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【翻訳家】山岡 洋一
【著者】ジェームズ・C・コリンズ
【出版社】日経BP出版センター
【発刊年月】2001年12月21日
【本体価格】2310円 (税込)
【ページ数】360p
【ISBN】4822242633
【購入】http://www.ithouse.net/japanese/ac/bk_4822242633.htm
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ほんとうに問題なのは、「なぜ偉大さを追及するか」ではない。「どの仕事なら、偉
大さを追求せずにはいられなくなるか」だ。なぜ「偉大さを追求しなければならない
のか、そこそこの成功で十分ではないか」と問わなければならないのであれば、おそ
らく、仕事の選択を間違っている。
本文330pより抜粋
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本書は「良好」を超えて「偉大」な業績をあげている企業に共通する特徴とは何で
あるのか、偉大な業績と企業組織を作り上げる会社とそうでない会社にはどのような
違いがあるのか。経営陣へのインタビュー、膨大な内部資料をもとにその違いを分析
したものである。
米国上場企業1435社の中から選別された11社の超優良企業と、おなじような
ビジネス環境と事業規模を持ちながら超優良企業になれなかった企業とを比較分析し
、飛躍的な成長を可能にしたものとは何であったのかを解明している。
偉大な企業を組織し、運営し、業績を上げるには何が必要なのか。わけのわからな
い経営理論や難解な経営学用語を使うことなく、だれにでも理解することができる分
析結果が導き出されている。
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<= 館長室だより =>―――――――――――――――――――――――――――――
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■◇「黄色の歩道」
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イチョウの木から黄色の葉が落ち、黄色の歩道が出現した。この黄色の歩道を歩き
ながら、イチョウの木を見上げてみた。すると、緑色が残った葉を発見した。緑色が
残っているとはいえ、次の木枯らしがきたら落ちてしまうだろう。そう思いながら落
ち葉を何枚か拾ってみた。
木の枝から落ちたばかりの葉は、まだ黄色い。ところが、数日経過したものは、葉
から水分が蒸発して肌色になっている。もっと時間が経過したものは、明るい茶色に
なっている。
寒さとともに、空気も乾燥してきたので、あっという間に水分が蒸発してしまう。
明るい茶色の落ち葉は、パリパリに乾燥し、うす紙のように軽い。そのため、ちょと
した風でも吹き飛ばされ、歩道や車道に広がっていく。
イチョウの木は黄色の衣に変わり、春から夏にかけて活躍した葉っぱたちは、その
役割を終えた。落ち葉の上を歩けば「ガサ、ガサ、ガサ」という自分の足音を聞くこ
とができる。心を落ち着かせれば、もっと自然が語りかけてくる。
(平岩大樹=通訳翻訳館)
[館長室だよりは通訳翻訳館ウェブサイトに掲載しています]
◇館長室だより(「イチョウ並木」をデジカメで撮影しました)
http://www.ithouse.net/japanese/tayori/20041213.htm
◇いままでの館長室だより一覧(館長室)
http://www.ithouse.net/japanese/director.htm
<= 投稿募集 =>―――――――――――――――――――――――――――――――
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■◇「あなたからの投稿を掲載します」
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「通訳翻訳ビジネスレポート」ではメディアが取り上げない通訳翻訳業界の現状を
取り上げ多くの方々と情報共有するべく投稿原稿を幅広く取り上げております。応募
の資格は「通訳翻訳ビジネスレポート」の読者であればどなたでも応募いただけます
。
原稿内にはご自身のホームページの表記も認めますが、表記によるトラブルについ
ての責任は一切負いかねますのでご了承ください。なお、応募原稿全てを掲載したい
ところですが編集部が掲載を判断したものに限らせていただきます。
原稿は下記の体裁でお送りください。掲載の成否は1週間以内に必ずご連絡いたし
ます。採用させていただいた原稿は通訳翻訳館ウェブサイト「投稿コラム」に掲載し
「通訳翻訳ビジネスレポート」メールマガジンにも掲載させていただきます。なお将
来的に「投稿コラム」は出版物として出版する可能性もありますのであらかじめご了
承ください。
応募原稿体裁―「通訳」または「翻訳」をキーワードに政治・経済・文化などにつ
いてのあなたご自身のご意見を1行全角38字詰め、総字数1000字〜2000字(見出しを
含む)にまとめ、下記アドレスへお送りください。メールアドレスのみの匿名による
応募も受け付けますが会社名、氏名、メールアドレス、ホームページURLの表記を
ご希望の方は記入ください。
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せんのでご承知おきください。お手数ですが、送信メールの件名には必ず「投稿」と
いう文言を記入してください。
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