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通訳翻訳ビジネスレポート No.55 2005/05/04 投稿:訳者はだれだ
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◆━2005/05/04 第0055号━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━◆

◇◇通訳翻訳ビジネスレポート◇◇
    http://www.ithouse.net/
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◇目次━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━

<投稿記事>
 ◆「訳者はだれだ」平岩大樹(通訳翻訳館)

<書籍紹介>
 ◆『ことばと文化』鈴木孝夫(著)
 ◆『翻訳とはなにか』柳父章(著)

<館長室だより>
 ◆「生命力あふれる森」平岩大樹(通訳翻訳館)

<投稿募集>
 ◆「あなたからの投稿を掲載します」


<= 投稿記事 =>―――――――――――――――――――――――――――――――

■■………………………………………………………………………………………………
■◇「訳者はだれだ」
■■………………………………………………………………………………………………

 訳者不明の翻訳文が、新聞に掲載されている。翻訳文の文体と翻訳分野をよく考え
てみれば、だれが翻訳したの分からないわけでもない。文体の特徴を観れば、だれが
翻訳したのか分かることもある。「あの翻訳家か、あの翻訳家しかいないではないか
」と。

 新聞社に、「だれが翻訳したのか」と電話で聞いてみた。電話をかけるタイミング
がいつも悪いようで、「今日は終わったので」とか、「担当者がいないので」とかな
んとかいってくる。「訳者はだれだ」などと電話で問い合わせてくる読者は、想定外
らしい。

 活字メディアを代表する大手新聞社が、訳者不明の翻訳文を新聞紙面に掲載し続け
ていいのだろうか。いいわけがない。日本の大手新聞社だ、名の知れた翻訳家を登用
しているはずで、それは翻訳文を読めばわかる。しかし、いったい「だれが」翻訳し
ているのかが分からない。

 新聞社内部の制度がどうなっているのか知らないが、新聞記事には記者名が明記さ
れている記事とそうでない記事がある。記者のなかの格付けか何かは知らないが、記
者名をいれる記事があって、なぜ訳者名がないのか。いままでそうやってきたからと
いって、これからもそうやっていいとは限らない。

 新聞の翻訳文は、日本人の新聞記者が書いた記事文と混ざって掲載されている。読
者は、日本語で翻訳文を読むことができるし、理解することもできる。専門用語があ
っても、それは専門用語だとわかる。

 翻訳家がつくりだす翻訳文は、新聞記者が書く記事文とは素性が違う。だからとい
って翻訳文が「上」で記事文が「下」だなんてことではないし、記事文が分かりやす
くて翻訳文が分かりにくいということでもない。

 あたりまえのことだが、翻訳文の原文は日本語ではない。外国語で書かれた原文は
、異文化の中でしか機能しえないような思考体系が幾重にも組み合わさってできてい
る。つまり、見た目は日本語でも翻訳文と記事文とでは中身が違うのだ。

 とはいえ、新聞社の苦しい立場も理解せねばなるまい。読者が求める記事を迅速か
つ正確に伝えるため、「みせかけの権威」に配慮しつつも、その影響力を排除しなけ
ればならなかったのだから。

 権威づけのための翻訳で「教科書」はつくれても、何百万人が毎日読む「商品とし
ての翻訳文」にはならない。読者の求めに応じて質の高い翻訳文を追求してきた新聞
社は、紙面から訳者名を外すことで読者ニーズに応えてきた。

 「みせかけの権威」が崩れ去った今、権威づけされた翻訳文を拝んでいるような読
者はいない。権威によって歪められた新聞紙上の舞台装置を、いつまでも歪んだまま
にしておく必要もないのである。

(平岩大樹=通訳翻訳館)

 ◇平岩大樹
  1998年10月、「通訳翻訳館」の前身となった非営利求人求職サイト「個人
  翻訳通訳館」を立ち上げる。2000年に同サイトを「通訳翻訳館」に名称変更
  するとともに「通訳」と「翻訳」に特化した求人求職サイトを始める。現在、通
  訳翻訳館の館長。http://www.ithouse.net


[この記事は通訳翻訳館ウェブサイトにも掲載されています]

 ◇掲載記事
  http://www.ithouse.net/japanese/column/doc/20050504.htm

 ◇いままでの記事一覧
  http://www.ithouse.net/japanese/column/box.htm

 ◇記事を投稿する
  http://www.ithouse.net/japanese/column/send.htm


<= 書籍紹介 =>―――――――――――――――――――――――――――――――

■■………………………………………………………………………………………………
■◇『ことばと文化』
■■………………………………………………………………………………………………

【著者】鈴木 孝夫
【出版社】岩波書店
【発刊年月】1973年05月21日
【本体価格】735円 (税込)
【ページ数】209p
【ISBN】4004120985
【購入】http://www.ithouse.net/japanese/ac/bk_4004120985.htm

──────────────────────────────────────
外国のことは、外国にいってみなければ判らないことが多いのは確かである。しかし
、ただそこに行ったからとて、いやそこで長く暮らしたからとて、必ずしも判るもの
ではないのが「見えない文化」なのである。見る方の人に、自分の文化を原点とした
問題意識がなければ、実に多くのことが、そこにあっても、見えないのである。
                           本文125pより抜粋
──────────────────────────────────────

 本書はことばが異なるということは何を意味し、ことばの性質や特徴の違いが文化
へどのような表れ方をするのかをまとめたものである。人間が現実世界を認識するた
めのものの見方、考え方、切り方が集約したもの、それがことばだと著者はいう。

 ことばによって概念化され、意味を与えられる部分は一部でしかなく、大半は自分
たちでも意識化されることのない「見えない文化」に隠されいるのだと指摘している
。異文化でも、自文化でも、文化を深く理解するためには、ことばに意味を与える価
値体系としての「見えない文化」を探らねばならない。

 ことばを辞書と文法書だけで理解するなどということはできたものではないし、異
文化の中で機能している枠組みや概念を、日本語に直訳しただけでは、本当に異文化
を理解したことにはならないのだと説いている。

 ◇そのほかのオススメ選書をみる
   http://www.ithouse.net/japanese/bookshop.htm


■■………………………………………………………………………………………………
■◇『翻訳とはなにか―日本語と翻訳文化』
■■………………………………………………………………………………………………

【著者】柳父 章
【出版社】法政大学出版局
【発刊年月】2003年04月23日
【本体価格】2625円 (税込)
【ページ数】217p
【ISBN】4588436090
【購入】http://www.ithouse.net/japanese/ac/bk_4588436090.htm

──────────────────────────────────────
およそ翻訳という仕事の上で、何がもっとも困難であるか。一見逆説的な、私の結論
を、あらかじめ述べておこう。すなわち、翻訳の技術の上では、もっとやさしそうな
ことが、実は、もっとも翻訳困難なのだ、と私は考えるのである。
                           旧版1pより抜粋
──────────────────────────────────────

 本書は日本語の文中に組み込まれている翻訳語がどのような効果をもっているのか
を探ったものである。幕末・明治初期に造られた「自由」や「社会」などの翻訳語は
、誰によって造られ、どのような流通過程をへて一般に使われるようになったのかを
明らかしている。
 
 短期間に日本を近代化するために開発された明治の翻訳方法は、訳語の意味が不十
分でも、論理が矛盾していても、もっともらしい日本文に仕立てあげることができる
翻訳方法だと著者は指摘する。

 翻訳語は、原語の訳語として十分な意味づけや、使い方がはっきしないまま翻訳文
に組み込まれて流通し、意味がはっきりしないからこそ、そこに特別な意味があるよ
うな特殊効果をつくりだすコトバなのだと語っている。

 ◇そのほかのオススメ選書をみる
   http://www.ithouse.net/japanese/bookshop.htm


<= 館長室だより =>―――――――――――――――――――――――――――――

■■………………………………………………………………………………………………
■◇「生命力あふれる森」
■■………………………………………………………………………………………………

 生き返るという表現をしたくなるほど、三宝寺池の森に活気と活力が戻ってきた。
植物、昆虫、小動物たちのささやかな再生産活動が森に生命力を与えているようだ。
毎日、毎日、人間にとってはちっぽけな成長や変化にすぎないと思われる小さな積み
重ねが、森全体の姿を変えている。

 一本の木、一株の水草、一匹の昆虫にしたって、あたりまえのことを、あたりまえ
にやっているにすぎないと思いたくなる。だが、そうだろうか。毎年、毎年、同じこ
とを同じように繰り返しやっているだけなのだろうか。

 練馬の自然環境は、人間が実感できるほど激変している。太陽からの直射日光の強
さ、夏場の気温上昇、光化学スモッグなど、人間でも体感できるほどの大きな変化が
起こっている。人間が気づかない小さな変化はもっとたくさん発生しているはずだし
、その小さな変化が積み重なって気温や大気に影響を与えている。

 一本の木、一株の水草、一匹の昆虫だって、環境に適応できなければ生き残れない
。木が枯れたとか、植物が腐ったとか、昆虫がひっくりかえって死んでいるという事
実をもっと深く探求すれば何かが見えてくる。日常の小さな変化を軽視せず、ねばり
強く観察していけば、その先の大きな変化が見えてくるかもしれない。そう思った。

(平岩大樹=通訳翻訳館)


[館長室だよりは通訳翻訳館ウェブサイトに掲載しています]

 ◇館長室だより(「かきつばた」などをデジカメで撮影しました)
  http://www.ithouse.net/japanese/tayori/20050425.htm

 ◇いままでの館長室だより一覧(館長室)
  http://www.ithouse.net/japanese/director.htm


<= 投稿募集 =>―――――――――――――――――――――――――――――――

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■◇「あなたからの投稿を掲載します」
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