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■「高度情報通信ネットワーク社会でどう変わる」-2002/07/20
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 2002年6月18日、日本政府IT戦略本部から「e-japan重点計画2002」が公開された。「e-japan重点計画」とは日本が「2005年に世界最先端のIT国家となる」ために2001年1月「e-japan戦略」で掲げられた国家戦略だ。現在、2001年3月に成立した「高度情報通信ネットワーク社会形成基本法」(IT基本法)のもと高度情報通信ネットワーク社会推進戦略本部が中心となり官民の総力を結集して「世界最先端のIT国家」を目指している。

 「世界最先端のIT国家」という国家ビジョンのもと高度情報通信ネットワークが整備された日本社会において通訳翻訳ビジネスはどうなるのであろうか?。「e-japan重点計画2002」で描く世界最先端のIT国家「にっぽん」を想像しながら通訳翻訳ビジネスの未来を探ってみることにする。

 冒頭で「IT革命は産業革命に匹敵する歴史的大転換を社会にもたらすものである。産業革命が世界を農業社会から工業社会に移行させたように、情報通信技術の活用が、情報流通の時間を劇的に低下させ、密度の高い情報のやり取りを容易にし、世界規模での急激かつ大幅な社会経済構造の変化を生じさせることとなる。この結果、世界は工業社会から高度情報通信ネットワーク社会、即ち情報と知識が付加価値の源泉となる社会に急速にいこうしつつある。」

 そして「IT革命の推進は、経済社会のあり方をその根底から変革する全世界的な営みであり、それだけ、今世紀の国際社会における我が国の位置付けを決定づけるものである。したがって、変化を恐れず、英断をもって邁進していかなればならない。」と国家ビジョン策定に至った経緯が述べられている。

 「e-japan重点計画2002」で描く世界最先端のIT国家とは、@「すべての国民がITのメリットを享受できる社会」、A「経済構造改革の推進と産業の国際競争力の強化が実現された社会」、B「ゆとりと豊かさを実感できる国民生活と、個性豊かで活力に満ちた地域社会が実現された社会」、C「地球規模での高度情報通信ネットワーク社会の実現に向けた国際貢献が行われる社会」で「ITを経済・社会のあらゆる局面に効果的に利活用し、国際社会の中で、豊かな国民生活や事業活動ができる」高度情報通信ネットワーク社会であるとする。

 高度情報通信ネットワーク社会では行政、企業、学校、国民が超高速インターネット網で結ばれ、電子政府のもとにすべての国民は「多様な情報・知識を世界的規模で入手・共有・発信」し、日本経済の競争力の源泉である「中小企業のうちおおむね半数程度がインターネットを活用した電子商取引」が行われる。

 現在、上述の高度情報通信ネットワーク社会を実現するため、重点政策5分野を「世界最高水準の高度情報通信ネットワークの形成」、「教育及び学習の振興並びに人材の育成」、「電子商取引の推進」、「行政の情報化及び公共分野における情報化」、「高度情報通信ネットワークの安全性及び信頼性確保」として強力に推し進められている。

 電子政府を頂点とした高度情報通信ネットワーク社会のなかで通訳翻訳ビジネスはどのように営まれていくのであろうか?。そこで関連の深い重点政策5分野である「世界最高水準の高度情報通信ネットワークの形成」と「電子商取引の推進」について分析してみよう。

 まず、「世界最高水準の高度情報通信ネットワークの形成」の「世界最高水準」とは「通信の速度・容量のみで判断されるものではなく、低廉・高速・大容量のインターネットを中心とする多様なネットワーク全体を多様性・信頼性などを総合的に評価した上で、世界最先端の水準と認められるものでなければならない」としている。

 つまり、光ファイバー、無線技術を活用しパソコンに限らず様々な情報機器をネットワーク化することで、どこでも超高速インターネットに接続できる環境を整え、「地理的な制約や年齢・身体的条件に関係なく、すべての国民がインターネットを通じて、いつでも必要とするサービスを受発信できる」ようになるとしている。

 そして、国際的な電子署名・認証制度等を世界の各国と協力し「あらゆる局面における電子商取引等の浸透のためのきめ細かな制度整備」を行うことで電子商取引を促進し2003年 BtoB 市場で70兆円(1998年の約10倍)、BtoC 市場で3兆円(1998年の約50倍)を超える世界最高水準の高度情報通信ネットワークビジネス社会を実現するという。

 「世界最先端のIT国家」において通訳翻訳サービスを提供する企業、個人は地理的な制約や規模に関係なくインターネットを通じて通訳翻訳サービスを必要とするすべての国民に必要なサービスを提供することできるようになる。現在でもインターネットを使えば地理的な制約や規模に関係なく翻訳サービスは提供できるのだが、高度情報通信ネットワークビジネス社会では「すべての国民」に提供できるようになる。

 あらゆる情報機器が高速インターネットによってネットワーク化されることで通訳サービスにおいても大きな変化が起こる。携帯電話を使った電話通訳サービスはすでに登場しているが、高度情報通信ネットワーク社会ではネットワーク化されたモニター、マイク、ヘッドホン、カメラだけで通訳サービスを提供することが可能となるだろう。カーナビ、モバイルツール、テレビ、クオーツ等あらゆる情報機器が端末化され高速インターネットで結ばれることで情報端末を活用した通訳サービスが増え通訳者は家にいながら仕事をこなすようになるだろう。

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平岩 大樹(ひらいわ たいき)

 1998年10月、通訳翻訳館の前身となった求人求職マッチングサイト「個人翻訳通訳館」ウェブサイトを立ち上げる。2000年に同サイトを通訳翻訳館に名称変更し「通訳」と「翻訳」に特化した求人求職マッチングサイトを開設。現在、通訳翻訳分野における「求人と求職のミスマッチ解消」を使命とし通訳翻訳館を運営している。




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