Column
通訳翻訳館
コラムトップ 記事ボックス 記事を投稿 閲覧の注意 ホームヘ


■「悪臭が漂う美しい泉」-2004/01/30
Mag2 Logo
通訳翻訳ビジネスレポート』メールマガジンで新着情報をお届けします(登録無料)


 語学ブームの終焉にともない、スクールに新規受講生が集まらない。しかも、集客ツールとして使ってきた業界誌は廃刊や縮小に追い込まれている。そこでスクールは、講師に本を書かせたり、歩く広告塔にしようとしたり、となかなかおもしろい作戦を展開している。
 
 いままでスクールは「あなたも翻訳家になれる」、「憧れの職業」などとさんざん広告宣伝してきた。文章と同じようにキャッチコピーにも、人の考え方や経営理念がにじみ出てしまう。

 「あなたも翻訳家になれる」、「憧れの職業」というキャッチコピーからにじみでるものは「不正直」、「不誠実」、「傲慢」という悪臭でしかない。優れた人材を養成し、社会に貢献しようなどという情熱、理念、使命感は微塵も感じられない。

 真実の情報を隠し、幻想をばらまき、自分たちだけの利益を追求することしか眼中にない。この「あなたも翻訳家になれる」、「憧れの職業」というキャッチコピーほど、翻訳家や通訳者をバカにしているキャッチコピーはない。

 本来なら、業界誌がこういう傲慢なスクールや会社を批判し、叩くものだ。しかし、この通訳翻訳業界に「業界誌」などというものは存在しない。いくら「業界誌」などと自作自演してみても実態はスクールの「広報誌」でしかない。ここまで放置した業界関係者にも責任がある。

 今日、スクールの社会的な存在理由が厳しく問われている。そういう自覚や認識を当事者たちは持っていない。土地バブル経済では有効だったかもしれないが、時代はもうすっかり変わっている。いま求められているのは「ハッタリ」や「幻想」ではない、「ホンモノ」だ。

 「ハッタリ」、「幻想」作戦が効かなくなり、今度は副業ブームに便乗しようとしているスクール関係者と広報誌。また真実の情報を隠し、幻想をばらまき、自分たちだけの利益を追求しようとしている。

 通訳、翻訳で生活していくことは、画家になること、音楽家になることと同じくらい厳しく、困難な道となる。一流の画家、一流の音楽家になれる人は数えるくらいしかいないように、一流の通訳者、翻訳家になれる人も数えるくらいしかいない。

 画家として成功すること、音楽家として成功するということはどんなことを意味し、どんな生活に耐え、どんな困難を克服しなければならないのか、ある程度知られている。

 画家や音楽家になる志を立てた人間は、最低限の生活に耐え、親戚や友人からバカにされ、懸命に仕事に取り組んでも世間は認めてくれない。そんな生活が何十年と続く。どんな困難を覚悟しても、いくら強い決意を持っても、多くは脱落していく。

 通訳者になる、翻訳家になるということも全く同じことだ。最低限の生活に耐え、親戚や友人からバカにされ、懸命に仕事に取り組んでも世間は認めてくれない。そんな生活が何十年と続く。どんな困難を覚悟しても、いくら強い決意を持っても、多くは脱落していく。これが真実だ。

こんな記事もおすすめです こんな記事もおすすめです
虚像の踊り虚像の踊り通訳翻訳教育
儲かるのはだれか儲かるのはだれか通訳翻訳教育
ドロ舟は沈むドロ舟は沈む通訳翻訳教育
業界誌とスクール業界誌とスクール通訳翻訳教育
憧れを売る人たち憧れを売る人たち通訳翻訳教育



平岩 大樹(ひらいわ たいき)

 1998年10月、通訳翻訳館の前身となった求人求職マッチングサイト「個人翻訳通訳館」ウェブサイトを立ち上げる。2000年に同サイトを通訳翻訳館に名称変更し「通訳」と「翻訳」に特化した求人求職マッチングサイトを開設。現在、通訳翻訳分野における「求人と求職のミスマッチ解消」を使命とし通訳翻訳館を運営している。




通訳翻訳ビジネスレポート』メールマガジンで新着情報をお届けします(登録無料)

Powered byまぐまぐ

記事一覧




コラムトップ 記事ボックス 記事を投稿 閲覧の注意 ホームヘ



You are here > Home > 投稿コラム > 記事ボックス > 2004/01/30投稿記事

通訳翻訳館

ホーム新着求人通訳求人翻訳求人求人掲載メルマガコラムブログTwitter館長室広告免責運営
通訳/翻訳のお仕事発見!通訳翻訳サービス提供者発見!通訳翻訳ビジネスレポート翻訳家で選ぶビジネス翻訳書
フリーランスの書架ビジネスセンスを磨く本独立開業のための本仕事獲得のための本キャリアデザインの本
プロフェッショナルの書架通訳者が書いた本翻訳者が書いた本日本語を磨く本異文化を学ぶ本