みてくれは立派だが、中身は腐っている。それが、いまの日本だ。日本の国家財政に興味のある人、人口動向に興味のある人なら、日本から逃げ出したくなるほど、ひどい現実を知っている。実際、海外に逃げ出す準備をしている人もいれば、海外に逃げ出してしまった人だっている。
日本がやりとげた戦後復興とそれをささえてきた社会制度、社会組織が崩壊した。年金制度の崩壊は、それを象徴している。マスメディアは「崩壊するかもしれない」なんてなことをいっている。だが、そういっている人ほど、崩壊したことを誰よりも、よく知っている。
日本の国家理念はどこかに消え、聞こえのいいキャッチコピーだけがひとり歩きしている。年金制度の崩壊は、いまの日本がかかえる問題をすべて反映している。ハッタリ、ごまかし、先送り、テクニック、幻想。すべてそろっている。
おかしな兆候はいくつもあった。家庭崩壊、学級崩壊、リストラ、大量自殺など。危険信号はいくつも点滅していた。どこかおかしい。だが、どこが、どうおかしいのかわからない。多くの人が、そう感じていた。
ひとつの時代が終わったのだ。常識だったことが常識ではなくなり、あたり前だったことがあたり前ではなくなる。ハッタリ、ごまかし、先送り、幻想をばらまくのは、日本の悪癖だ。
わるいことに、やってはいけないときにかぎって、その癖がでる。そして崩壊するまで、ごかましをやり続ける。そんな事例が日本の歴史には、いくつもある。太平洋戦争は、その典型的な例だ。
太平洋戦争時の日本では、天皇は「神」だった。数百年も前のことじゃない。負けるとわかっていながら、戦争をやり続けた。どこかおかしい。だが、どこが、どうおかしいのかわからない。多くの人が、そう感じていた。このときもハッタリ、ごまかし、先送り、テクニック、幻想がすべてそろっている。
ひとつの時代は終わった。だが、すべてが終わったわけじゃない。あたらしい時代がはじまる。まだ輪郭しかみえないが、いずれはっきりと見えてくる。大変革期は不安と恐怖によって想像力が萎縮してしまう。だが、想像力を発揮し、あたらしい日本をつくる人たちが生まれるのは、この大変革期だ。
大変革期をオモシロイと感じるか、それとも怖いと感じるかで差がでる。オモシロイと感じれば行動、考え方、態度がすべてかわる。怖いと感じてしまえば、行き着く先は絶望しか待っていない。
非主流派が主流派に、非常識が常識に、空想が現実に、バカにされていた考え方が権威をもつようになる。社会のあり方、政治経済のしくみ、ビジネスのやり方が根底からかわる。それが、大変革期だ。
海外にいって異文化体験をした人には、ふたつのパターンがある。帰国する人、しない人だ。日本の大変革期は、そう何度もあるわけじゃない。海外にいってしまった人、本気で帰国することを検討した方がいい。なんせ、大変革期はオモシロイ。想像力さえあれば、なんだってできる。
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