求人情報には、求人企業のさまざまな情報が含まれている。求人情報から得られる情報は、何も企業の人材募集情報だけではない。求人情報には、求人企業のオモテの情報とウラの情報が含まれている。
ふつう、求人情報は仕事を得るため、職を得るために活用するものだが、求人情報にはそれ以外にも有用な情報を含んでいる。求人情報をよく読めば、求人企業の経営状況、財務体質、マーケティング戦略、ブランド戦略、中長期の経営戦略などといったウラの情報までみえてくる。
オモテにあたる情報は、仕事内容や応募資格などといった見て読んだままの情報でしかない。ウラにあたる情報は、どのような広告媒体を使い、どのくらいの期間を採用期間にするか、複数の媒体を使っているのか、募集内容の情報量、情報開示がどの程度行なわれているのかなど、深く掘れば掘るほどウラの情報が出てくる。
ウラの情報は、けっしてオモテに出てこない。株式上場企業といえども、ウラの情報を公表することはない。求人情報には、経営陣や一部の経営上層部しか知りえないようなウラの情報が、たっぷりと含まれている。
広告媒体情報は求人企業の社外秘の情報、つまり企業の台所事情に関わる情報が含まれている。求人企業が、どのような求人広告媒体を選び、どのように使うかをみれば求人企業の経営方針、経営理念、人の扱い方、従業員の離職率、企業組織の成熟度、経営戦略などもわかる。
一般の求職者や転職希望者は、生活面での不安、将来への期待などがあるため、冷徹な目で求人情報を読んだり、時間をかけてあれこれ比較分析する余裕はないかもしれない。「いい」と思ったところに採用が決まれば、集めた求人情報は不要になるし、それ以上の情報収集は必要ない。そんなことよりも、新環境にどう適応すればいいのかという問題に移る。
時間をかけて求人情報を集め、比較分析をやり続けると新聞や報道、本や雑誌では得られない「企業を見分ける目」が養える。年単位で、求人企業の求人情報を追跡すれば、ホンモノとニセモノの区別だけでなく、どうやってニセモノをホンモノのように演出しているのか、そのあたりの手口もみえてくる。
年単位の情報追跡をやるとハッタリ、ごかまし、テクニックがすぐわかる。美辞麗句、きれいなオフィス、カッコのいい社員など関係ないことがわかる。企業の本当の姿はどういうものなのか。オモテの情報とウラの情報の乖離が何を意味するのか、求人媒体情報とつき合わせてみれば、信用調査会社などの信用調査よりも正確な企業情報が浮かび上がる。
企業が人材募集で使える広告媒体は豊富だ。求人企業は必要とする人材ニーズや広告予算に応じて広告媒体を選び、求人情報を掲載することができる。企業は高額の広告媒体を使って求人情報を掲載することもできれば、無料サイトを使うこともできる。
一流といわれる企業は、どのような求人媒体を使って、どのくらいの広告費用を使っているものなのか。あやしい企業は、どのような広告媒体を使って、どのくらいの広告費用を使っているものなのか、求人情報をじっくりとみてみれば、いままでみえなかった情報が浮かび上がってくるはずだ。
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